腸内環境を改善するには？善玉菌を「足す」だけ？カギは『菌の多様性』だった

あなたの「腸活」、こんな間違いしていませんか？

「なんだか最近スッキリしない…」
「美容のコンディションが気になる…」
「季節の変わり目や環境の変化にゆらぎやすい…」

こうしたお悩みの原因、もしかしたら「腸内環境」にあるかもしれません。

健康や美容の土台として、今や「腸活」は当たり前のキーワードになりました。
多くの方が、ヨーグルトや乳酸菌飲料を毎日摂ることを習慣にしているのではないでしょうか。
しかし、「頑張っているのに、あまり実感がない…」と感じているとしたら、それはその「腸活」方法が、あなたの体と合っていないからかもしれません。

実は、近年の研究では、単に「善玉菌を外から足す」こと以上に、「もともと自分のお腹の中にいる菌の“多様性”」が重要であると注目されています。

この記事では、私たちの腸内で一体何が起こっているのか、そして、本当の意味で健やかな毎日を目指すための「菌の多様性」という新しいアプローチについて解説します。

あなたの腸内で起こっていること

私たちの腸内には、約100兆個以上、種類にして1,000種類以上もの細菌が棲んでいると言われています。
この細菌たちがお互いにバランスを取りながら集まっている様子が、まるでお花畑（フローラ）のように見えることから、「腸内フローラ」と呼ばれています。

この腸内フローラを構成する菌は、大きく分けて3つのタイプに分類されます。

1. 善玉菌
   体に良い働きをするとされる菌の代表格。ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などがこれにあたります。
   私たちが食べたものをエサにして、健康維持に役立つ物質（例えば「短鎖脂肪酸」など）を作り出したり、腸の動きをサポートしたりします。
2. 悪玉菌
   名前の通り、増えすぎると体に良くない影響を与える菌。ウェルシュ菌などが知られています。
   タンパク質などを分解して不快な物質を作り出し、腸内環境のバランスを乱す原因となります。
3. 日和見菌
   腸内細菌の中で最も数が多く、全体の約7割を占めるとも言われます。
   この菌の最大の特徴は、「優勢な方の味方をする」こと。
   善玉菌が優勢な環境では善玉菌のように働き、逆に悪玉菌が優勢になると、悪玉菌と一緒になって悪さをすると言われています。

理想のバランスは「2：1：7」

健康的な腸内フローラは、「善玉菌：2割」「悪玉菌：1割」「日和見菌：7割」このバランスが理想的だとされています。

ポイントは、悪玉菌をゼロにすることではなく、「善玉菌が常に優勢な状態」をキープすること。
そうすることで、最も数の多い日和見菌を味方につけ、腸内全体を良好なバランスに保つことができるのです。

なぜ「菌の多様性」が重要なのか？

腸内環境のバランスが大切なことは分かりました。
では、なぜ「菌を足す」だけでは不十分で、「菌の多様性」が重要なのでしょうか。

人によって「棲んでいる菌」は違う

まず知っておくべきは、腸内フローラは「指紋」のように、人それぞれ全く違う構成をしているということです。
食生活、生活環境、年齢、さらには生まれた時の状況によって、腸内フローラは異なります。

ヨーグルトなどで特定の菌（プロバイオティクス）を外から摂り入れた場合、その菌があなたの腸に「棲みつく」ことは、実は非常に難しいと言われています。
多くは一時的に通過するだけで、定着せずに排出されてしまいます。

もちろん、通過する間にも良い働きをしてくれるため、摂り続けることに意味はあります。
しかし、根本的な解決を目指すなら、「外から菌を足す」ことと同時に、「もともと自分が持っている菌をサポートし、育てる」という視点が必要なのです。

「多様性」こそが強さの証

「菌の多様性が高い」状態とは、多種多様な菌がバランスよく共存している状態を指します。
想像してみてください。あるチームに、ピッチャーしかいなかったらどうでしょう？
野球の試合には勝てません。キャッチャーや野手、様々な役割の選手がいるからこそ、強いチームになります。

腸内フローラも同じです。

多様な菌がいれば、様々な食べ物（エサ）に対応でき、それぞれの菌が役割分担をして、体に必要な物質を効率よく生み出すことができます。
また、食生活の乱れやストレスといった外部からの「敵」が来た時も、多様性のあるチーム（フローラ）なら、そのダメージを最小限に抑え、素早く立て直す力（レジリエンス）が強くなります。

逆に、菌の種類が偏り、「多様性」が失われた状態では、少しの環境変化にも対応できず、バランスが崩れやすくなってしまうのです。

「多様性」をサポートする新しい腸活アプローチ

では、どうすれば自分だけの腸内フローラの「多様性」をサポートできるのでしょうか。

食生活の見直し（「菌のエサ」を摂る）

菌を育てる基本は、やはり食事です。

善玉菌のエサとなる「食物繊維」（野菜、海藻、きのこ類）や「オリゴ糖」（大豆製品、玉ねぎ、ごぼう、バナナなど）を積極的に摂ること（＝プレバイオティクス）が重要です。

特定の食品に偏らず、できるだけ多くの種類の食材をバランスよく食べることが、菌の多様性を育むことにつながります。

生活習慣を整える

適度な運動、質の良い睡眠、ストレスを溜めないこと。
これらも腸内環境に大きく影響します。
特にストレスは、悪玉菌を増やす原因にもなるため、リラックスできる時間を持つことが大切です。

「菌が作り出す物質」に注目する

ここが、本記事でお伝えしたい最も重要なポイントです。

近年の腸活では、「菌そのもの（プロバイオティクス）」や「菌のエサ（プレバイオティクス）」に加え、第3のアプローチが注目されています。
それが、「菌が生み出した“生産物質”（ポストバイオティクス／バイオジェニックス）」を直接摂り入れるという考え方です。

善玉菌は、私たちが食べた食物繊維などをエサにして、発酵・分解する過程で、「短鎖脂肪酸」をはじめとする、私たちにとって有益な物質をたくさん作り出します。

実は、私たちが「善玉菌が良い」と言う時、その恩恵の多くは、この「菌の“生産物質”＝乳酸菌生産物質」によるものなのです。
この「乳酸菌生産物質」は、菌そのものではないため、もともと自分の腸に棲んでいる菌との相性を気にする必要がありません。

• 自分の腸内フローラ（多様性）を直接サポートする
• 腸内環境のバランス維持にアプローチする

「菌を育てる」という視点から一歩進み、「菌が生み出す恵み（生産物質）」を直接摂り入れること。
これは、自分の腸内細菌が元気に働くための「環境そのもの」を整える、非常に効率的なアプローチと言えるでしょう。

自分に合った腸活で、健やかな毎日を

「腸活を頑張っているのに実感がない…」
その原因は、あなたの腸内フローラの「多様性」にアプローチできていなかったからかもしれません。
単に善玉菌を「足す」だけでなく、

1. 自分の菌のエサとなる「食物繊維」や「オリゴ糖」を摂る
2. 自分の菌が元気になる「生産物質」をサポートとして摂り入れる

この2つの視点をプラスすることで、あなた本来の腸内環境のバランス維持を目指すことができます。

日々の食事や生活習慣の改善はもちろん大切です。
しかし、忙しい毎日の中で、完璧な食生活を続けるのは難しいもの。

「ヨーグルトだけでは物足りなさを感じている」
「もっと根本から自分の環境を見つめ直したい」

そうお考えの方は、菌の「多様性」と「菌の生産物質」に着目した、新しいインナーケアを試してみませんか？
あなたに合った方法で、スッキリと軽やかな毎日を目指しましょう。

免責事項

• 本記事は、腸内環境に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断、治療、または専門的なアドバイスに代わるものではありません。
• 健康上の問題や体調に関して懸念がある場合は、速やかに医師または専門の医療機関にご相談ください。
• 本記事で紹介する内容は、記事作成時点の情報に基づいています。
• サプリメントの摂取にあたっては、製品の表示をよく確認し、ご自身の体質やアレルギー、現在服用中の薬との飲み合わせについて、必要に応じて医師や薬剤師にご相談ください。

参考

• （一財）腸内細菌学会「腸内細菌叢と健康」
• （公財）長寿科学振興財団 健康長寿ネット「腸内細菌とプロバイオティクス・プレバイオティクス」